調査研究事業



2018年度の調査研究事業

1)就労支援の実態調査として下記2点を検討します。
(1)実習後にワーカーズ・コレクティブメンバーとして就労する人、アルバイトやボランティアする人など、協会の支援を継続する人が増えています。この方たちの定着支援を通して共通課題を整理し対策を検討します。

(2)全国的に居場所事業が様々な形で展開されてきました。国が進める地域共生社会も市民がお互いさまのたすけあいを進めるものですが、県内の自治体における居場所事業の施策を調査し継続するために何が必要か、課題を整理します。


2016年度 居場所検討プロジェクトの答申を掲載します。

2016年度 居場所検討プロジェクト答申

Ⅰ.はじめに

 協会が就労支援を始めて10年が経ちました。実習から訓練を通した支援が中心であり、そのためにコーディネーターの役割をメインにスキルアップを心掛けてきました。困窮者自立支援制度がスタートして2年を経てニーズが見えてきたのが居場所事業です。協会では、働き場のぽらん、居場所兼働き場のはっぴいさんなどを生み出してきましたが、あらたに実習を終えても就労にはまだ時間がかかりそうな人、生活スキルを身に付けることが必要な人、行き先がなくひきこもってしまう人たちの存在も見えてきました。不登校の若者以外に多世代にも必要とされているのが地域の居場所事業です。

 協会がイメージする居場所事業では、居場所の運営スタッフ以外に、専門性のスキルを持つ個別支援を担うスタッフが必要であり、これまでに協会が蓄積してきたコーディネーターとは異なります。支援スタッフの養成、育成が課題となります。他にも拠点づくりのための場の確保や運営主体、経費の捻出、はっぴい&キャリーとの関連ではリサイクルショップの併設などの検討も課題となります。

 協会では就労準備講座で「居場所ぽらん」を設け、そこで様々な演習、講座を実施していますが、この居場所をモデル事業として位置づけ、問題点を探りながら本格的な居場所の在り方から立ち上げに向けた課題を整理していきたい思います。
 協会が目指す「誰もが共に働く・暮らす」をテーマに、就労支援から生活面の支援へ、中間就労の場づくりから居場所事業の展開へ向けて、あらたな事業所づくりに挑戦します。

Ⅱ.調査研究概要                   

(1)目的
 居場所事業で何をするのか、自主でやれること活用できる制度、運営方法や立ち上げに必なことを洗い出し、先駆的に行っている居場所への視察などを行い居場所たちあげに必要なことなど解決策をさぐる。

(2)会議日程
 第1回 2016年12月14日(水)  座長の決定、目的の確認
 第2回 2017年 1月13日(金)  居場所の事業内容、
 第3回 2017年 2月 8日(水)  答申の項目等の検討
 第4回 2017年 3月 8日(水)  居場所視察
 第5回 2017年 4月 6日(木)  答申について検討
 第6回 2017年 4月19日(水)  答申について検討

(3)調査内容
 ①他の居場所の状況
 ②助成金や制度
 ③居場所視察(めぐカフェ) 
 ④居場所事業の内容、運営方法、必要なスキル等

Ⅲ.居場所の必要性にいたった経過について

(1)ぽらんの経験から見えてきたこと
 誰でも働けるコミュニティキッチンぽらんは、毎日決まった仕事があるなど働き場としては機能していたが、時間になると帰るのでスタッフと話をする時間も少なく、ほっとする空間を用意できなかった。経験不足でコミュニケーションが苦手な若者には居場所的機能が必要なことに気付いた。

(2)はっぴいさんの課題から
 ぽらんの経験を経て、単なる働き場だけではなく「居場所兼働き場」づくりが必要だと2011年に居場所兼働き場づくりプロジェクトを設置した。それが2012年に3団体協働で行ったくらしのサポートプロジェクトにつながり、ワーカーズ・コレクティブはっぴいさんが誕生した。はっぴいさんでは毎月の定例会後にメンバーが自主的に交流会を開催するようになり、はっぴいさんを卒業したメンバーも機会があるごとにはっぴいさんの会議に出席するなど居場所としての役割は持ち始めている。しかし、それはメンバーの自主的な集まりに留まっている。悩みや不安を抱えたはっぴいさんメンバーの相談機能はもててなく、居場所としても十分機能を果たしているとは言えない。

(3)はっぴい&キャリーから見えること
 2016年からはおもしろ倉庫ではっぴい&キャリーの解体作業をはっぴいさんのメンバーも担うようになった。そこに(企)ワーコレキャリーで実習を終えた若者も加わり、作業が終えるとお互いに情報交換したり、おしゃべりをするようになっている。ぽらんと同じく、仕事だけではなくほっとする空間を求めていることがここからも見えてきた。定例的な働き場のないはっぴいさんにとっては、はっぴい&キャリーの事業で出てきた品物を販売するリサイクルショップの開設がいつも話題になる。働き場であり、支援するシニアもいる居場所としてのリサイクルショップが理想だが、キャリーの事業にも関わることであり運営主体・資金等の課題で実現に至っていない。

(4)横浜市就労準備支援事業からわかったこと
 横浜市就労準備支援事業は職場体験実習だけの事業である。働く手前の課題を抱えている実習生が途中で通えなくなる、実習を終了しても就労には至らない人達が少なくない。決まった時間に起きることができない、掃除・洗濯・入浴ができない、電車・バスの乗り方がわからない、挨拶の仕方がわからない。家族と一緒に生活していても親自身も生活スキルが充分でないため、親から学ぶことはできない。ぽらんやはっぴいさんからは見えてこなかった課題である。本人の努力だけでは解決できない問題もあるが、生活する力をアップすることで開ける道も出てくる。

Ⅳ.私たちがめざす居場所とは

 高齢者や子どもたちの居場所は多い。しかし働くことの応援を目的とした居場所はほとんどない。就労支援をうたった食堂やカフェもたくさんがあるが、運営するスタッフにはきちんとした給与が払われているが、訓練生は無償というところが多い。視察に行っためぐカフェも訓練期間が決められていて、訓練終了後の出口が課題であると担当者が話していた。
 協会のめざす居場所は「働き場」でもあることが重要であるが、継続しての就労の場ではなく、次のステップに行くための中間的就労の場とする。ワーカーズ・コレクティブのメンバーになるための職業訓練的な役割を持ち、ここでの訓練のあとワーカーズ・コレクティブに就労できるような形で進めていきたい。そこに至るまで、相談を受けながら、生活力をつけ、学び直しをしていく場である。
 働き場の事業は、地域の人たちでワーカーズ・コレクティブを立ち上げ運営する。中間的就労をする実習生には奨励金を支払う。協会としてはワーカーズ・コレクティブの主要メンバーに人を送り出し、利用者募集や研修、助成金獲得、家賃助成などの支援で関わる。

※「中間的就労」とは、一般的な職業に就く「一般就労」をただちに目指すのが困難な人が、本格的な就労にむけた準備段階として、公的支援も受けながら、日常生活での自立や社会参加のために働くこどができる就労期間のことです。(出典:日本の人事部より)

Ⅴ.居場所開設に向けて

(1)対象者 
 誰でも来られる居場所というのは、外の社会を居場所にも持ち込むことになり、外の社会で居場所を失っている人にとって安心できる場とはならない。そのため、このプロジェクトの居場所の対象者は以下の人達とした。
・働く意欲がある15歳から65歳までの人達
・協会等の実習を終えても就労にはまだ時間がかかりそうな人
・居場所に通って、学習したり生活スキルを身につけたいと思う人
・その他
 

(2)居場所で行うこと
 学びの場でもあり就労の場でもあること。働く意欲はあるがいろいろな生きづらさを抱えていて働くことに困難を抱えている人たちがここに来ることで就労意欲を高められること。そのためには、単に学ぶだけではなくそれを活かすことができ収入につながることが重要である。

①生活の学校
ひとりで生活していくための調理、掃除・洗濯、生活スキル。金銭管理。健康づくり。
②中間的就労の場
カフェ事業、リサイクルショップなど次のステップとしてワーカーズ・コレクティブなどに就労できる職種が望ましい。居場所における中間的就労は、非雇用型で奨励金を支払う。
③相談ができる場
就労相談に限らず、生活のことなども含む。通ってくる人の顔色などにも配慮しながら困っていること、悩んでいることなど日常的に気軽に相談できること。同時に就労に関しては少し専門的な相談も受けられること。
④学習の場
働きたいと意欲を持った人が学びたいと思ったとき。読み書き、パソコン。
⑤地域とつながる
地域づくりへの参加。中間的就労の場には地域の人に集ってもらう。その地域の特性を活かす。支援員もボランティアもなるべくその地域の人から募る。

(3)必要なスキル
①講座講師
  生活の学校に必要な技術を持った人、掃除・片づけ・調理・金銭管理など。
②相談機能
  本人の異変に気付くことができる人、気づいたときに声をかけて相談を受けられる力
③就労支援
アセスメント能力、本人の適性を見る力
④事業運営
事業経験のあるワーカーズ・コレクティブメンバーの力 

(4)運営方法
 居場所事業を行う主体と就労の場となる事業を運営する主体を分ける。
 生活の学校、相談ができる場、学習の場などの居場所事業の主体はワーカーズ・コレクティブ協会。中間的就労の場は地域の人が中心となったワーカーズ・コレクティブが運営する。この ワーカーズ・コレクティブには、①コーディネーター ②技術スタッフ ③支援スタッフ(世話焼き)に加え、この事業の応援団の役割も持つ。協会の自主事業にするか独立した組織を形成し委託にするかは、今後の検討課題。

(5)設置場所
 事業は多少家賃がかさんでも、人通りがある商店街や店舗の入っているビルの1室。
 理想は事業と学びの場や相談の場が同じ場所にあることだが、横浜市内の家賃を考えると、事業と居場所スペースを別にすることも考えられる。事業を行う場所は、協会スタッフがすぐに 支援に入ることができるように、西区・中区・南区・神奈川区等関内に近い場所が望ましい。

(6)必要なスペース
 事業をする場、相談ブース、事務所、会議室(学びの場ともなる)
 旧みどりセンター活用における試算では
 居場所+事務所+相談ブース+カフェで約60㎡としたが40㎡位で検討
(カフェは厨房、テーブル席4人×3、カウンター5人)

(7)資金計画
 ①予想される支出
 ・家賃、水光熱費、通信費
 ・講師費用、スタッフ謝金、奨励金
 ・事業関係:仕入材料費、

(試算1)
 カフェ事業 (めぐカフェ売上、360万円/年÷12ヶ月÷20日=15,000円/日)
 収入 売上     15,000円/日×25日/月×12か月=4,500,000円
     寄付・助成等             225,000円 (4,725,000円)
 支出 材料費原価率(35%)+寄付等       1,575,000円
     人件費(30%)+ボランティア等         1,350,000円
     家賃・水光熱費 150,000円/月×12か月=1,800,000円(4,725,000円)

(試算2)
 カフェ事業  1日売りあげ30,000円とし25日稼働で月売上75万円
 年間  30,000円×25日×12か月=9,000,000円
 材料費 35%目標   260,000円/月2
 家賃・水光熱費    150,000円/月
 人件費        330,000円/月
 スタッフ      200,000円/月
 奨励金       100,000円/月 1日2000円×2人×25
 交通費        30,000円/月

 この事業で必要な広さから賃料を計算すると1㎡ 3000円×45=135,000円
 空き店舗物件で厨房つきを探すともっとかかる?
 立ち上げ資金として 内装費用にそれだけかかるか未定 ぽらんでは200万円 
 今回はカフエから居場所も含めてとすれば 500万円くらいか?
 横浜市の空き店舗活用の助成を調べる

②活用できる資金
 ・協会の就労支援用の寄附
 ・エラベルその他の助成金

(8)利用者確保の方法
 ・協会に相談をしてきた人
 ・生活クラブ組合員やワーカーズ・コレクティブメンバーの家族に働きかける
 ・制度を使って実習したが、行き場のない人たち
 ・働楽就労支援センターからの紹介

(9)課題
 ①はっぴいさんと居場所の関係整理
 はっぴいさんメンバーとの関わりをどうするのか。経過の中で、はっぴいさんの活動の中から見えてきた課題をこの居場所事業でどのように解決していくのか。はっぴいさんの事務所を同じ場所に置く、はっぴいさんで働きながら就労訓練に参加できる、学びの場である講座に参加できるなど、具体的にどうしていくのかは今後実行チームに移行したときはっぴいさんも一緒に検討していきたい。
 ②中間的就労を含めてワーカーズ・コレクティブ事業とすることの理解を深める学習 これまでのワーカーズ・コレクティブでは技術スタッフが中心であったが、今回のカフエ事業では当事者支援のスタッフが存在する。協議を深めたい。

上へ戻る↑